ガンダムビルドファイターズ 〜 粒子の輝き。若さの輝き。 な 第21話感想
アイラの魂は。
あの悪行に加担していない。
血に汚れぬ無垢なままの姿で、
救いを求めている。
レイジ。
怒りで目を曇らせるな。
アイラを救えるのはお前だけ。
お前の役目なのだから、、、
ガンダムビルドファイターズ 第21話
「輝く粒子の中で」感想。
今話。
遂に、アイラの深淵に触れる。
本作ガンダムビルドファイターズの、
話の肝の一つ。
レイジの秘密。
プラフスキー粒子の秘密。
ks会長の秘密。(含むベイカー秘書)
それらと並ぶ、アイラの秘密。
アイラを、
救う事が出来る。
前話感想でそう言った私。
「本当だろうか?」
またしても囁くもう一人の自分。
本作は、
前話もしくは前半の流れをひっくり返すのが得意技。
前話で私はスタッフ陣が、
希望に至る仕掛けを施したように感じました。
それは。
穿った見方をすれば。
更なる悲劇へのプロローグなのではないか。
そう思う自分もいたのです。
しかし。
今話の結末は、
此れまでにも増して、
私の予想を完全に超えるものでした。
それを受けて。
今話感想は、
ストーリーを詳細に追っていくのではなく、
ちょっと違った視点から書いて見たいと思います。
実は。
「戦士の輝き」における、
フェニーチェとスタービルドストライクのバトル。
そして。
「心の形」における、
X魔王とスタービルドストライクのバトルを見た時点で感じており、
その後の戦国アストレイ、K9戦でほぼ。
今話のパピヨンとのバトルで確信に至った事がありましたが、
此れまで、
各話感想で綴りたいことが余りに多すぎて、
触れる機会を失っていた事を、
この機会に書いてみたいと思ったのです。
過去感想。
特にニルス君回の感想をお読みの方で、
「おいおい、この流れは、、、」
と思われた方はご安心を。
ニルス君の本題バトルの時のように、
激昂している訳ではありませんので。
また、この話は、
もしかしたらスタッフ陣へのインタビュー等で明らかになっており、
知っている方からしたら、
「何を今更」
な話かもしれません。
私は、
ネタバレによる視聴時の感動低下を恐れて、
事前情報をシャットアウトしていますので、
その辺りの頓珍漢ぶりがあった場合は、
ご容赦頂きたく。
さて、本題ですが、
本作ガンダムビルドファイターズは、
意図的にバトル描写を二つのパターンに分けている?
というのが、
フェリーニとマオ君、
それぞれとの本題バトルを見比べた時に受けた印象でした。
私の中で、
現時点におけるナンバーワン。
バーフェクトバトル。
バーフェクトストーリー。
世界大会予選最終フェーズにおける、
フェニーチェとスタービルドストライクのバトルこと、
「戦士の輝き」。
バトルに至るまで、その最中、ラストにおける心理描写。
全ての武装、全ての知略を尽くした果ての、殴り合い。
MSの挙動、重量感、軋む音まで聞こえてきそうな、
リアルさを感じさせる戦闘描写。
(バトル開始時の頭突きは、戦闘そのものに影響を与えないロマンとして受け止めました)
どのような死闘の果てであれ、
戦い終われば、
肩を並べてガンプラについて喜々として語り合える、
あまりにも爽やかなラスト。
一話30分に詰め込んだ内容としては、
その全てが完璧といえる仕上がりでした。
対して、
マオ君のX魔王とスタービルドストライクの、
世界大会決勝トーナメントにおけるバトルこと、
「心の形」。
其処に至るまでのマオ君の心理描写は、
フェリーニの「戦士の輝き」と同様、見事でした。
ただ、バトルに関しては、
単にフェリーニ回よりも時間が短い、というだけではなく、
別の視点の違いを感じていました。
フェニーチェとのバトルと異なり、
X魔王とのバトルは、
どちらかと言えばリアルさよりも、
派手さ、勢いを重視しているように見受けられました。
「心の形」回の感想でも書きましたが、
戦略的には、
他にやりようがあったと多分に思える、マオ君の戦法。
但し、
其れはマオ君の矜恃とも受け止めました。
技よりも戦略よりも、力。
其れは十分に納得出来るものでした。
何より、
彼は若い上に、
世界大会での強敵と戦った経験が足りない。
戦略に緻密さが足りなかったのは、
止むを得ないとも言えます。
それでも。
その時点での己の全て、
持てる全ての工夫を尽くした。
そう納得する事が出来ました。
一点引っかかったのは、
ビルドナックル。
マオ君の新装備にして、
マイクロウェーブに加え、
ソーラーエネルギーまでをも込めた魔王剣を、
明示的なチャージもないままに放たれたビルドナックルが、
アッサリとは言わないまでも、
結果として、
自身が半壊するでもなく砕いて見せたのは、
演出的には派手で見応えはあったものの、
かなり説得力を欠いた描写に思えました。
フェニーチェ戦のリアル感をもって当たるのならば、
RGの機動力で魔王剣を躱しながら、
X魔王本体に当てに行ったのではないか?
そう感じました。
真っ向からぶつかり合ってこそのロマン、熱さはあったものの、
たとえガンプラとはいえ、
両機ともに健在でのMS戦であれば、
躱してこその美学ではないか?
そう思わせる描写でした。
(フェニーチェ戦は、両機ともに満身創痍における、最後の一撃に等しい殴り合いでしたから)
その時点で、
もしかしたら、と思った感想。
フェニーチェとスタービルドストライクのバトル。
戦略、知略、MSの挙動や重量感、
リアルさを感じさせる、数々の其の描写は、
我々、
宇宙世紀世代へのスタッフ陣の贈り物。
X魔王とスタービルドストライクのバトル。
理屈よりも勢いで押す。
細かいMSの挙動描写よりも。
武装の強弱とその理由よりも。
止め絵を用いてでも迫力ある演出を重んじる。
派手でヒロイックなその演出は、
主に平成以降の、
新時代のガンダムといわれる作品に触れてきた、
若い世代への、
スタッフ陣のプレゼントなのではないか。
そう思ったのです。
其処に上下貴賤はない。
時代の変化に則して綴られてきた、数々のガンダム作品。
それらをオマージュしながら、
あくまで、
二つの方向性を示しているだけなのではないか、と。
其れをレイジとセイの対戦相手、
もしくは、その回の主役の年齢で描き分けている。
そう思ったのです。
例えばルワン。
残念ながら主役回と呼べるバトルシーンはなかったものの、
ロワイヤルにおける、
スタービルドストライクとX魔王との初の邂逅の際の、その手腕は、
戦略、技術ともに、
正に見事としか例えようがありません。
その後の野球勝負、
レナート戦での見せ場なき敗北は、
どちらかと言えば、
ストーリー進行上、製作スケジュール上の都合でしょう。
次いで、
カワグチとレナート兄弟のバトル。
レナート兄弟は年齢十分として、
カワグチを高年齢として良いのかは微妙なところではありますが、
先輩である点、
メイジンの使命を背負っている点で、
レイジ、セイよりも先達として良いでしょう。
そのカワグチとレナート兄弟のバトル。
ベクトルは、
若干フェニーチェとスタービルドの其れとは違いますが、
戦略、知略、リアル感を感じさせる戦闘描写は、
正に宇宙世紀世代への贈り物。
まさかのスナイパーへのEXAM搭載も、
素晴らしいサプライズながら、
その後の描写も十分な説得力を持っていました。
レナート兄弟。
相手に爆弾を仕掛けるという手法は、
決して褒められたものではありませんでしたし、
彼らがジオン兵に愛情を込めていたとも思えませんが、
彼らの戦いぶりは、
バトルのリアル感を感じさせる、
見事なものだったと思います。
そしてニルス君の「アストレイの刃」。
其処まで積み上げた経緯を無視したとも言える、
心理描写の不足、不整合。
戦略、知略、理由付けの、
殆ど全てに納得がいかないバトルシーンについての詳細は、
当該回の感想で書きましたので割愛します。
ここで書きたいのは、
ニュージェネレーションズ同士のそのバトル。
やはり、
X魔王の時と同様に、
理屈よりも勢いで押す描写そのものでした。
そして決着は、
またしてもビルドナックル。
いきなりRG。
接着剤で粒子をカット。
の部分も含み、
ビルドナックルの位置付けがチートに過ぎるながらも。
理屈よりも。
ひたすらに迫力と勢いで押す、其の戦闘描写は、
ヒロイックなロボットバトルそのものでした。
特に、
頭部に戦国アストレイの打撃を受けた時に大したダメージがなかったのは、
全ての打撃が粒子発勁ではなかったと解釈するしかないですが、
戦国アストレイの打撃は、
全て躱さないと致命なのかどうかが、良く分からない描写でした。
迫力という点では、
其処に目をつぶれば、中々に見栄え良く映るものなのかもしれませんが。
一点、ニルス君を弁護するならば、
彼は天才であってもガンプラバトルの天才な訳ではなく、
強敵とのバトルもないまま、
世界大会における経験値が不足していたのは、マオ君と同様。
更に言えば、
彼は戦国アストレイを完全無欠と信じていた事、
そしてその若さも手伝えば。
無策のまま、
スタービルドストライクとのバトルに臨んだのもまた、
無理からぬ事だったように思います。
そして、今話のアイラ。
心理描写については、あれこれと言う必要はないでしょう。
今話前半どころか、
此れまで数話をかけて盛り上げてきました。
数度会っただけのアイラを信じて心配し、
何があったのかを真剣に語り合うニュージェネレーション達。
バトルに集中出来るように。
わだかまりをもって臨まぬように。
ワザとレイジを挑発するような真似をしてからの殴り合いで、
レイジの鬱憤を吐き出させたフェリーニ。
其れを満足気に見守るラルさん。
レイジのため、自分に何が出来るのかを考え、行動したセイ。
其れを手助けしたチナちゃん。
世代を越えて。
アイラとレイジに関わってきた全ての人々が。
彼女と彼を案じ、助けるべく行動する、
美しい光景。
全ては、
この世界とバトルに生き死にの概念がないからこそ。
そうでなければ、
フェリーニはもうこの世にいなかった。
そうでなければ、
チナちゃんは、セイを手伝う事は、心情的にも出来なかったでしょう。
方や、ナイン。
「私はただ、、、普通に」
レイジの背中を追うも、
正体を知られた時の、レイジのあの怒りの形相に、
愕然として目を覚ますアイラに対し。
目と耳を塞いでマシーンになれと、
彼女を追い詰めます。
バトルに至るまで緊張感は、
最高潮と言える状況でした。
そして、運命のバトル。
序盤にセイが魅せます。
パピヨンのクリアファンネルに対し、
バルカンに特殊塗料を仕込ませるという工夫。
ギュネイは偶然の爆風。
フェリーニは舞い上げた雪。
私はマオ君だったらと、
バトルウェポンにおけるスプレーガンに例えました。
過去のパピヨンのバトルを見ていれば誰もが到達し得る其処に、
今回のセイはキチンと到達して見せました。
ニルス君の回のように、
無策の上に、
バトル開始と同時のRG乱舞!!
でも繰り出すのではないかとヒヤヒヤしていたのですが、
キチンと成長した姿を見せてくれたのは嬉しい限りです。
なお、
序盤で何処となく、
フェニーチェ対パピヨン戦を思わせる工夫が飛び出しましたが、
宇宙世紀風味はここまで。
フェリーニがファンネルを精密射撃で墜としていったのに対し、
レイジは全方位射撃による一撃必殺の演出で魅せます。
そして此処からは、
バトルよりも、
レイジとアイラの心のやり取りがメイン。
カワグチが「心の光」と例えたように。
まるで逆シャアのサイコフレームの光を思わせる光景が、
会場を包みます。
戦いたくない。
でも戦わないと、生きていけない。
勝たないと、居場所が無くなってしまう。
心の中で塞ぎ込み、
しゃがみ込むアイラ。
そんなアイラに、
其れがどうしたとばかりに話しかけるレイジ。
居場所なんてどうにでもなるさ、
何だったらセイの家に来いよと。
そして。
これまでのレイジを見て、
本気だと、
その言葉を信じる事が出来たアイラ。
彼女の心が解き放たれる、
感動的なシーン。
此れまで積み上げてきたものが一気に花開く、
感涙を誘うシーン。
しかし。
此処からこそが。
本作の本作たる所以でした。
正気に戻ったアイラの告白。
戦いたくなかったのは、自分が勝ってしまうから。
そうなったら此れまでのような関係でいられなくなってしまうから。
ということだったのですが、
其れを聞いたレイジの反応は、
「はあっ!?」
「勝つのは俺に決まってんだろ」
「馬っ鹿じゃねえの」
そしてこの言葉で、、、
「誰が馬鹿ですってええええっ!?」
ヘルメットをかなぐり捨て!!
アイラがブチキレる!!!!!
此処からは、
勢いに任せて殴り合うわ、
バーカバーカヘナチョコパンチ〜と飛び跳ねるわの、
大大大痴話喧嘩!!!
呆然とする観客達。
「痴話喧嘩?」とボヤくキララ。
「楽しめとは言ったがイチャつけとは言ってねぇぞ」と呆れるフェリーニ。
アイラを窘めるナインを突き飛ばし、
音声回線で割り込んできたネメシス総帥を、
「うるさいジジイ!!」呼ばわりし、
孫には、
「ガンプラバトルに勝ちたかったら自分でやんなさい!!」と、
此れまた、
気持ち良い程の正論を交えながら、
此れまでの鬱憤をブチまけます。
唖然呆然とする観客と関係者をよそに。
私は。
大声で笑っていました。
一本取られた!!
なるほど!!
確かにスタッフ陣は決めていたのだ。
どのような死闘の果てであれ、
決して悲劇にはしないと。
あの新EDを見て、
私自身もそう受け止めたと書いていたではないか。
此れまで、
「安心しろよ」
そういう展開にしてきてくれたと書いていたではないか。
ただ、
喜劇にするとまでは思っていなかったが。(苦笑)
此処まで引っ張って、
盛り上げてきたのだから。
悲劇にはしなくても。
アイラが無事な結末でも。
もっと涙を誘う展開、
感動を呼ぶ演出もあったと思う。
しかし。
此れもガンプラバトル。
此れぞガンダムビルドファイターズ。
そう思わせる展開でした。
そして。
バトルの最後はやはり、
新時代のガンダムファンへのプレゼントとなる、
ビルドナックルでの一撃必殺エンド。
粒子が見えるアイラの、
目が眩む程の粒子量。
そして見えていても躱せない、
圧倒的なスピード。
その理由付けは、
接着剤よりは幾分、納得のいきやすいものではありました。
ただ、
此処までのチートと言ってしまうと、
恐らくはカワグチとの戦いとなる決勝戦は、
どう描写するのか少々不安にもなります。
所謂、
スーパーサイヤ人対決にならない事を祈るのみですが、
ユウキ先輩との場外バトルが宇宙世紀風味だった事を考えると、
カワグチとて、と思いたいところです。
このパターンに当てはめた予測。
当たるかどうか?
そしてCパート。
戦い終われば、
シンクロしてジュースを飲む事だって出来る。
そして、
セイの家に泊まる事になりそうな気配のアイラと、
セイの関係を心配するチナちゃんなど、
笑いのツボの押さえどころに隙の無い演出は、
何時も通りのガンダムビルドファイターズなのでした。
さて。
次回は何やら新キャラが登場する模様。
この段階で新キャラを出す程、
残り話数に余裕があるとも思えませんが、
この流れ。
果たしてどのような影響があるのでしょうか。
ガンダムビルドファイターズ 第21話
「輝く粒子の中で」感想
おわり
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あの悪行に加担していない。
血に汚れぬ無垢なままの姿で、
救いを求めている。
レイジ。
怒りで目を曇らせるな。
アイラを救えるのはお前だけ。
お前の役目なのだから、、、
ガンダムビルドファイターズ 第21話
「輝く粒子の中で」感想。
今話。
遂に、アイラの深淵に触れる。
本作ガンダムビルドファイターズの、
話の肝の一つ。
レイジの秘密。
プラフスキー粒子の秘密。
ks会長の秘密。(含むベイカー秘書)
それらと並ぶ、アイラの秘密。
アイラを、
救う事が出来る。
前話感想でそう言った私。
「本当だろうか?」
またしても囁くもう一人の自分。
本作は、
前話もしくは前半の流れをひっくり返すのが得意技。
前話で私はスタッフ陣が、
希望に至る仕掛けを施したように感じました。
それは。
穿った見方をすれば。
更なる悲劇へのプロローグなのではないか。
そう思う自分もいたのです。
しかし。
今話の結末は、
此れまでにも増して、
私の予想を完全に超えるものでした。
それを受けて。
今話感想は、
ストーリーを詳細に追っていくのではなく、
ちょっと違った視点から書いて見たいと思います。
実は。
「戦士の輝き」における、
フェニーチェとスタービルドストライクのバトル。
そして。
「心の形」における、
X魔王とスタービルドストライクのバトルを見た時点で感じており、
その後の戦国アストレイ、K9戦でほぼ。
今話のパピヨンとのバトルで確信に至った事がありましたが、
此れまで、
各話感想で綴りたいことが余りに多すぎて、
触れる機会を失っていた事を、
この機会に書いてみたいと思ったのです。
過去感想。
特にニルス君回の感想をお読みの方で、
「おいおい、この流れは、、、」
と思われた方はご安心を。
ニルス君の本題バトルの時のように、
激昂している訳ではありませんので。
また、この話は、
もしかしたらスタッフ陣へのインタビュー等で明らかになっており、
知っている方からしたら、
「何を今更」
な話かもしれません。
私は、
ネタバレによる視聴時の感動低下を恐れて、
事前情報をシャットアウトしていますので、
その辺りの頓珍漢ぶりがあった場合は、
ご容赦頂きたく。
さて、本題ですが、
本作ガンダムビルドファイターズは、
意図的にバトル描写を二つのパターンに分けている?
というのが、
フェリーニとマオ君、
それぞれとの本題バトルを見比べた時に受けた印象でした。
私の中で、
現時点におけるナンバーワン。
バーフェクトバトル。
バーフェクトストーリー。
世界大会予選最終フェーズにおける、
フェニーチェとスタービルドストライクのバトルこと、
「戦士の輝き」。
バトルに至るまで、その最中、ラストにおける心理描写。
全ての武装、全ての知略を尽くした果ての、殴り合い。
MSの挙動、重量感、軋む音まで聞こえてきそうな、
リアルさを感じさせる戦闘描写。
(バトル開始時の頭突きは、戦闘そのものに影響を与えないロマンとして受け止めました)
どのような死闘の果てであれ、
戦い終われば、
肩を並べてガンプラについて喜々として語り合える、
あまりにも爽やかなラスト。
一話30分に詰め込んだ内容としては、
その全てが完璧といえる仕上がりでした。
対して、
マオ君のX魔王とスタービルドストライクの、
世界大会決勝トーナメントにおけるバトルこと、
「心の形」。
其処に至るまでのマオ君の心理描写は、
フェリーニの「戦士の輝き」と同様、見事でした。
ただ、バトルに関しては、
単にフェリーニ回よりも時間が短い、というだけではなく、
別の視点の違いを感じていました。
フェニーチェとのバトルと異なり、
X魔王とのバトルは、
どちらかと言えばリアルさよりも、
派手さ、勢いを重視しているように見受けられました。
「心の形」回の感想でも書きましたが、
戦略的には、
他にやりようがあったと多分に思える、マオ君の戦法。
但し、
其れはマオ君の矜恃とも受け止めました。
技よりも戦略よりも、力。
其れは十分に納得出来るものでした。
何より、
彼は若い上に、
世界大会での強敵と戦った経験が足りない。
戦略に緻密さが足りなかったのは、
止むを得ないとも言えます。
それでも。
その時点での己の全て、
持てる全ての工夫を尽くした。
そう納得する事が出来ました。
一点引っかかったのは、
ビルドナックル。
マオ君の新装備にして、
マイクロウェーブに加え、
ソーラーエネルギーまでをも込めた魔王剣を、
明示的なチャージもないままに放たれたビルドナックルが、
アッサリとは言わないまでも、
結果として、
自身が半壊するでもなく砕いて見せたのは、
演出的には派手で見応えはあったものの、
かなり説得力を欠いた描写に思えました。
フェニーチェ戦のリアル感をもって当たるのならば、
RGの機動力で魔王剣を躱しながら、
X魔王本体に当てに行ったのではないか?
そう感じました。
真っ向からぶつかり合ってこそのロマン、熱さはあったものの、
たとえガンプラとはいえ、
両機ともに健在でのMS戦であれば、
躱してこその美学ではないか?
そう思わせる描写でした。
(フェニーチェ戦は、両機ともに満身創痍における、最後の一撃に等しい殴り合いでしたから)
その時点で、
もしかしたら、と思った感想。
フェニーチェとスタービルドストライクのバトル。
戦略、知略、MSの挙動や重量感、
リアルさを感じさせる、数々の其の描写は、
我々、
宇宙世紀世代へのスタッフ陣の贈り物。
X魔王とスタービルドストライクのバトル。
理屈よりも勢いで押す。
細かいMSの挙動描写よりも。
武装の強弱とその理由よりも。
止め絵を用いてでも迫力ある演出を重んじる。
派手でヒロイックなその演出は、
主に平成以降の、
新時代のガンダムといわれる作品に触れてきた、
若い世代への、
スタッフ陣のプレゼントなのではないか。
そう思ったのです。
其処に上下貴賤はない。
時代の変化に則して綴られてきた、数々のガンダム作品。
それらをオマージュしながら、
あくまで、
二つの方向性を示しているだけなのではないか、と。
其れをレイジとセイの対戦相手、
もしくは、その回の主役の年齢で描き分けている。
そう思ったのです。
例えばルワン。
残念ながら主役回と呼べるバトルシーンはなかったものの、
ロワイヤルにおける、
スタービルドストライクとX魔王との初の邂逅の際の、その手腕は、
戦略、技術ともに、
正に見事としか例えようがありません。
その後の野球勝負、
レナート戦での見せ場なき敗北は、
どちらかと言えば、
ストーリー進行上、製作スケジュール上の都合でしょう。
次いで、
カワグチとレナート兄弟のバトル。
レナート兄弟は年齢十分として、
カワグチを高年齢として良いのかは微妙なところではありますが、
先輩である点、
メイジンの使命を背負っている点で、
レイジ、セイよりも先達として良いでしょう。
そのカワグチとレナート兄弟のバトル。
ベクトルは、
若干フェニーチェとスタービルドの其れとは違いますが、
戦略、知略、リアル感を感じさせる戦闘描写は、
正に宇宙世紀世代への贈り物。
まさかのスナイパーへのEXAM搭載も、
素晴らしいサプライズながら、
その後の描写も十分な説得力を持っていました。
レナート兄弟。
相手に爆弾を仕掛けるという手法は、
決して褒められたものではありませんでしたし、
彼らがジオン兵に愛情を込めていたとも思えませんが、
彼らの戦いぶりは、
バトルのリアル感を感じさせる、
見事なものだったと思います。
そしてニルス君の「アストレイの刃」。
其処まで積み上げた経緯を無視したとも言える、
心理描写の不足、不整合。
戦略、知略、理由付けの、
殆ど全てに納得がいかないバトルシーンについての詳細は、
当該回の感想で書きましたので割愛します。
ここで書きたいのは、
ニュージェネレーションズ同士のそのバトル。
やはり、
X魔王の時と同様に、
理屈よりも勢いで押す描写そのものでした。
そして決着は、
またしてもビルドナックル。
いきなりRG。
接着剤で粒子をカット。
の部分も含み、
ビルドナックルの位置付けがチートに過ぎるながらも。
理屈よりも。
ひたすらに迫力と勢いで押す、其の戦闘描写は、
ヒロイックなロボットバトルそのものでした。
特に、
頭部に戦国アストレイの打撃を受けた時に大したダメージがなかったのは、
全ての打撃が粒子発勁ではなかったと解釈するしかないですが、
戦国アストレイの打撃は、
全て躱さないと致命なのかどうかが、良く分からない描写でした。
迫力という点では、
其処に目をつぶれば、中々に見栄え良く映るものなのかもしれませんが。
一点、ニルス君を弁護するならば、
彼は天才であってもガンプラバトルの天才な訳ではなく、
強敵とのバトルもないまま、
世界大会における経験値が不足していたのは、マオ君と同様。
更に言えば、
彼は戦国アストレイを完全無欠と信じていた事、
そしてその若さも手伝えば。
無策のまま、
スタービルドストライクとのバトルに臨んだのもまた、
無理からぬ事だったように思います。
そして、今話のアイラ。
心理描写については、あれこれと言う必要はないでしょう。
今話前半どころか、
此れまで数話をかけて盛り上げてきました。
数度会っただけのアイラを信じて心配し、
何があったのかを真剣に語り合うニュージェネレーション達。
バトルに集中出来るように。
わだかまりをもって臨まぬように。
ワザとレイジを挑発するような真似をしてからの殴り合いで、
レイジの鬱憤を吐き出させたフェリーニ。
其れを満足気に見守るラルさん。
レイジのため、自分に何が出来るのかを考え、行動したセイ。
其れを手助けしたチナちゃん。
世代を越えて。
アイラとレイジに関わってきた全ての人々が。
彼女と彼を案じ、助けるべく行動する、
美しい光景。
全ては、
この世界とバトルに生き死にの概念がないからこそ。
そうでなければ、
フェリーニはもうこの世にいなかった。
そうでなければ、
チナちゃんは、セイを手伝う事は、心情的にも出来なかったでしょう。
方や、ナイン。
「私はただ、、、普通に」
レイジの背中を追うも、
正体を知られた時の、レイジのあの怒りの形相に、
愕然として目を覚ますアイラに対し。
目と耳を塞いでマシーンになれと、
彼女を追い詰めます。
バトルに至るまで緊張感は、
最高潮と言える状況でした。
そして、運命のバトル。
序盤にセイが魅せます。
パピヨンのクリアファンネルに対し、
バルカンに特殊塗料を仕込ませるという工夫。
ギュネイは偶然の爆風。
フェリーニは舞い上げた雪。
私はマオ君だったらと、
バトルウェポンにおけるスプレーガンに例えました。
過去のパピヨンのバトルを見ていれば誰もが到達し得る其処に、
今回のセイはキチンと到達して見せました。
ニルス君の回のように、
無策の上に、
バトル開始と同時のRG乱舞!!
でも繰り出すのではないかとヒヤヒヤしていたのですが、
キチンと成長した姿を見せてくれたのは嬉しい限りです。
なお、
序盤で何処となく、
フェニーチェ対パピヨン戦を思わせる工夫が飛び出しましたが、
宇宙世紀風味はここまで。
フェリーニがファンネルを精密射撃で墜としていったのに対し、
レイジは全方位射撃による一撃必殺の演出で魅せます。
そして此処からは、
バトルよりも、
レイジとアイラの心のやり取りがメイン。
カワグチが「心の光」と例えたように。
まるで逆シャアのサイコフレームの光を思わせる光景が、
会場を包みます。
戦いたくない。
でも戦わないと、生きていけない。
勝たないと、居場所が無くなってしまう。
心の中で塞ぎ込み、
しゃがみ込むアイラ。
そんなアイラに、
其れがどうしたとばかりに話しかけるレイジ。
居場所なんてどうにでもなるさ、
何だったらセイの家に来いよと。
そして。
これまでのレイジを見て、
本気だと、
その言葉を信じる事が出来たアイラ。
彼女の心が解き放たれる、
感動的なシーン。
此れまで積み上げてきたものが一気に花開く、
感涙を誘うシーン。
しかし。
此処からこそが。
本作の本作たる所以でした。
正気に戻ったアイラの告白。
戦いたくなかったのは、自分が勝ってしまうから。
そうなったら此れまでのような関係でいられなくなってしまうから。
ということだったのですが、
其れを聞いたレイジの反応は、
「はあっ!?」
「勝つのは俺に決まってんだろ」
「馬っ鹿じゃねえの」
そしてこの言葉で、、、
「誰が馬鹿ですってええええっ!?」
ヘルメットをかなぐり捨て!!
アイラがブチキレる!!!!!
此処からは、
勢いに任せて殴り合うわ、
バーカバーカヘナチョコパンチ〜と飛び跳ねるわの、
大大大痴話喧嘩!!!
呆然とする観客達。
「痴話喧嘩?」とボヤくキララ。
「楽しめとは言ったがイチャつけとは言ってねぇぞ」と呆れるフェリーニ。
アイラを窘めるナインを突き飛ばし、
音声回線で割り込んできたネメシス総帥を、
「うるさいジジイ!!」呼ばわりし、
孫には、
「ガンプラバトルに勝ちたかったら自分でやんなさい!!」と、
此れまた、
気持ち良い程の正論を交えながら、
此れまでの鬱憤をブチまけます。
唖然呆然とする観客と関係者をよそに。
私は。
大声で笑っていました。
一本取られた!!
なるほど!!
確かにスタッフ陣は決めていたのだ。
どのような死闘の果てであれ、
決して悲劇にはしないと。
あの新EDを見て、
私自身もそう受け止めたと書いていたではないか。
此れまで、
「安心しろよ」
そういう展開にしてきてくれたと書いていたではないか。
ただ、
喜劇にするとまでは思っていなかったが。(苦笑)
此処まで引っ張って、
盛り上げてきたのだから。
悲劇にはしなくても。
アイラが無事な結末でも。
もっと涙を誘う展開、
感動を呼ぶ演出もあったと思う。
しかし。
此れもガンプラバトル。
此れぞガンダムビルドファイターズ。
そう思わせる展開でした。
そして。
バトルの最後はやはり、
新時代のガンダムファンへのプレゼントとなる、
ビルドナックルでの一撃必殺エンド。
粒子が見えるアイラの、
目が眩む程の粒子量。
そして見えていても躱せない、
圧倒的なスピード。
その理由付けは、
接着剤よりは幾分、納得のいきやすいものではありました。
ただ、
此処までのチートと言ってしまうと、
恐らくはカワグチとの戦いとなる決勝戦は、
どう描写するのか少々不安にもなります。
所謂、
スーパーサイヤ人対決にならない事を祈るのみですが、
ユウキ先輩との場外バトルが宇宙世紀風味だった事を考えると、
カワグチとて、と思いたいところです。
このパターンに当てはめた予測。
当たるかどうか?
そしてCパート。
戦い終われば、
シンクロしてジュースを飲む事だって出来る。
そして、
セイの家に泊まる事になりそうな気配のアイラと、
セイの関係を心配するチナちゃんなど、
笑いのツボの押さえどころに隙の無い演出は、
何時も通りのガンダムビルドファイターズなのでした。
さて。
次回は何やら新キャラが登場する模様。
この段階で新キャラを出す程、
残り話数に余裕があるとも思えませんが、
この流れ。
果たしてどのような影響があるのでしょうか。
ガンダムビルドファイターズ 第21話
「輝く粒子の中で」感想
おわり
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m(_ _)m


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